「みんな思い思いに輝いてほしい!」自由で朗らかなリーダーシップ

湯浅 しおりさん

●特定非営利活動法人あいあい(尾鷲市)
 理事長

2025年11月取材

尾鷲市にある高齢者・障がい者向け施設など、3施設を運営するNPO法人『あいあい』の代表理事・湯浅しおりさん。

配食・給食を提供する会社『OCK Ba-mi(オーシーケー バーミィー)』の社長でもあります。近年では観光施設『夢古道おわせ』を運営するために一般社団法人『OMOTENASI』も立ち上げました。

元々は尾鷲市で働く、シングルマザーの看護師。現在は約180人が働くグループの代表。その転機や苦労について、そして自身やグループの未来像について伺いました。


1. 介護事業所開設から観光施設の運営まで

ひとりの看護師が一念発起! 介護で創業

湯浅しおりさんは看護師から介護企業に転職し、その後『あいあい』を設立しました。創業のきっかけは、転職先の企業で介護の仕事に燃えたから。

「勝手に自分の顔入りチラシを作り宣伝して回りました。それを見た同僚達が『もう独立しているも同然じゃない?』と背中を押してくれて。」

その後、勤務先の企業が撤退を決定。当時の同僚と3人でNPO法人『あいあい』を設立しました。

現場の声に寄り添い新事業を展開

『あいあい』が運営する施設では、以下の珍しい取り組みで全国的に注目を集めています。

  • 入居者は酒もタバコもOK、スナックに行ってもOK!(職員が付き添う)
  • 職員は子連れ出勤OK!館内を子どもが走り回ってもOK!
  • 入居者の家族は施設内に泊まってもOK!

これらはいずれも、湯浅さんが現場から生じた“声”がきっかけ。配食・給食を提供する企業『OCK Ba-mi』を始めたのも、食事に困る高齢者の声を聞いたためです。

2. 出来事はすべて必然、運命を受け入れる

寄せられた“困り声”から事業が始まる

観光施設『夢古道おわせ』の運営者でもある湯浅さん。運営者になったきっかけは、元々経営していた企業の撤退を受けてのことでした。

「“困った”という声が寄せられて、じゃあ指定管理団体になろう、と」

翌日には一般社団法人『OMOTENASI』を1人で創設したという即断即決ぶり。

「『No』がない。全部『YES』から始めるようにしています。絶対どうにかなるから、リスクやデメリットは考えません。」

苦境も運命。経験できてむしろラッキー

事業を営む中で、試練も多く経験しました。平成16年には、開業直前だった新築の介護施設が不審火で全焼。

「もしも入居者様がいたら大惨事でした。入居前でむしろラッキーだったんです。」

津市で始めた障がい者就労支援の「ステップアップカフェ」は、コロナ禍で客足が途絶え、閉店することに。

「でも、そこの調理道具やスタッフが今では『夢古道おわせ』で大活躍しています。」

あらゆる出来事に対し、前向きに捉えるのが湯浅さんです。

3. 挑戦の場、居場所づくり、働き場づくり

「子どもは皆で見るから、一緒にやってみようよ」

高齢者、障がい者などさまざまな人を活かす『あいあい』の取り組みの中で、湯浅さんが特に気に掛けるのが、子育て中の女性です。

「私自身がシングルマザー。子守りがいなくて苦労しました。同じ思いを誰にもさせたくないから『子ども連れて出勤しておいで』と言っています。」

そして現在は『夢古道おわせ』で、商売に挑戦したい人を快く受け入れています。

「小物の販売でもネイルの施術でも何でも歓迎。色んな人が施設を使えば、町の魅力になる。いいでしょう?」

「みんな外へ出よう」街がバリアフリーになる

『あいあい』の入居者が居酒屋やスナックに行くようになり、町が変わったと湯浅さんは感じます。

「街中に車椅子のお年寄りがいる風景が普通になってきました。」

障がいを持つ人々と、湯浅さんは積極的に一緒に街へと繰り出しています。

「改修工事だけがバリアフリーづくりじゃない。『心のバリアフリーを作ろうよ』と広く実践してきました。」

4. 私のリーダーシップ

自分は覚悟を決めて責任を取る係

平成25年に開業した7階建ての総合福祉施設『あいあいの丘』は、地域の津波避難ビルの役割も果たしています。この建設に際し、6億5,000万円の借り入れを行いました。

「責任は私ひとりが取るから、みんなは思い思いに輝いて欲しい。社会は役割分担で成り立っていて、私の担当は”責任を取ること”だと思ったんです。」

学生時代から学級委員や生徒会長に選ばれがちだったという湯浅さん。今も皆に囲まれている時間が大好きだと言います。

現場のミスはその場で伝え、喜びは全員で分かち合う

福祉事業に、食の事業、そして観光施設の事業の3つが同時進行し、合計約180人のトップに立つ湯浅さん。日々発生するヒューマンエラーには、見かけたら即、声をかけることを大事にしています。

「悪気があるスタッフなんていない。今日まで教わる機会がなかっただけ、という気持ちで接しています。」

起こったミスは今後に活かせるよう全員に周知。その代わり感謝の手紙なども全員で共有し喜びを分かち合っています。

5. 福祉も観光も、やりたいことは沢山

目の前の課題を解決するために動く

今後の目標について、『夢古道おわせ』の運営者として、尾鷲にもっと遊びに来て欲しいと湯浅さんは語ります。

「キャンピングカーで泊まれるよう、24時間使えるトイレを開放しました。」

尾鷲の自然を自分の口で語りたいと、不慣れな登山も始めました。湯浅さんが“これからやりたいこと”は、いつも目の前にある課題から始まっています。

『あいあい』育ちの若者に、故郷での活躍の場を

一方で、『あいあい』の代表として次なる構想も止まりません。一つは、高度なケアが可能な「ナーシングホーム」の設立。

「『あいあい』で育ったスタッフの子ども達が、看護師や介護士になって戻ってきてくれました。彼らが地元で力を発揮できる場所を作りたい」 

地域の課題や、人々の声を拾いながら、楽しいアイデアが次々と湧いてきます。

誰に対してもフラットで寛容、そして“NOとは言わない”湯浅さん。これからも尾鷲に楽しい風を吹かせます。

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